まだ見ぬ友人へ, 非会員向け

友人へ もし僕がこんな人間なら…

 ところで、友人よ。

 僕がもしこんな人間でも、好きになってくれるだろうか。


 僕は君がどんなに駄目な奴だと思える時も、君を肯定する。

 君が元気になれるよう、自信を持てるように。

 もし君に言われたことがわからなくても、傷つけないようにわかったふりをする。

 君のことが本当は嫌であっても、傷つけないように嫌だと言わない。

 僕は自信がないので、君に気に入られるようにできるだけ良さそうなことをする。

 一般的に誰も批難しないようなことをすれば、君も文句は言えないだろう。

 君に文句を言わせないためならば、僕はなんでもする。

 だから僕に文句は言ってはいけない。

 僕だって我慢して君のことをなんでも肯定してあげて、喜ぶことをしてあげるのだから。

 それは優しさだ。君のことが大事だからだ。

 君を傷つけないためにも、僕は君の前では君に気に入られるようにしているよ。

 僕は過去にトラウマを抱え、口下手でうまく話せないし、これという特技もない。

 やりたいことは特にない。

 特に夢もない。

 でも誰かにこんな僕をわかってもらいたいと願っている。

 僕がこんな風になったのは僕の母のせいなのだ。

 母だけではない、僕は色んな酷い目に遭ってきた。

 本当に酷い目に遭ったんだ。

 だから仕方ないんだ。

 でも君のことは好きだから、仲良くしたいと思う。

 これから仲良くしてくれる?

 僕のことを一番特別好きになってくれる?

 これまでしてきた苦労と不幸ならば、他人の比ではない。

 僕がどんなに辛かったかわかったら、僕ができなかったことを叶えてくれるだろう?

 やってくれないならば、君は僕がどんなに辛かったかわかってくれていない。


 わかってくれたなら、優しくしてくれるよね?

 知っても優しくしてくれないなら、君は酷い人間になるけどそれでもいい?

 僕と僕のことを知る全ての人を敵に回すことになるけど、みんなに批難されることになるけどそれでもいい?

 僕は何も悪くないんだから、僕を責めたりしないよね。

 僕は何も悪くないんだから。

 ちゃんと僕の話を聞いたら、僕が傷つかないようにしてくれなきゃだめだよ。

 過去にはいろんなことがあったんだから、人間ならきちんと配慮するべきだ。

 僕の母は未だに酷いんだ。

 どうしたらいいのかわからないくらい酷いんだ。

 僕が頑張っても頑張っても、「私がどんなに苦労してきたか」なんて不幸話をして、僕にいつまでも何かさせようとするんだよ。

 今でもこんなに辛い思いをしているんだ。

 この僕の苦労がわかった?

 わかったら助けてくれるよね。優しくしてくれるよね。

 わかったのに何もしてくれないとか、冷たいことは言わないよね。

 だってそういうのは「社会的に良くない」ことだから。

 君は僕を傷つけた人になってもいいのか。

 僕が傷つくんだぞ。いいのか。知らないぞ。

 皆に悪く思われるからな?

 皆が絶対に君が間違ってるって言うからな?

 でも僕は君が悪気はないってわかってるから、ちゃんとわかってくれればいいんだよ。

 人間として、やっぱり人には優しくしないといけないけど、そうできなかった君を僕は許してあげるから大丈夫だよ。



 さて、勿論こんな人間ではないが。

 実は僕も最近知らなかった事実を知ったのだ。


 今のように「自分の過去の不幸」を理由に何かしてもらおうとする人たちの世界では

 「より辛くて大変だった人」が勝利するんだ。

 争って誰が一番可哀想か決めるんだ。

 可哀想で正しい人で優しい人

 最優秀の人が、それ以下の人たちに言う事を聞いてもらえるらしい。


 新事実だ。社会では色んなルールで生きている人がいるものだ。

 結婚も勝った方が優勢になり支配できる関係のことらしい。

 僕はてっきり、愛し合った人がするものだと思っていた。


 結婚は支配関係だから、早くに相手に勝利しなくてはならないらしいぞ。

 君は知っていたか?僕は知らなかった。


 かつてのストーカー女子たちは、付き合いたくないと言うと無理にでも付き合おうとした。

 支配が目的だから、嫌がることを強行すれば嫌われるとわかっていても構わないんだ。

 勿論、付き合ってご満悦なのは支配欲が満たされているからだ。

 「これから思い通りにしてもらえる」というのは、「支配欲」というのだ。

 望みを叶えてもらえる!は支配欲。

 そんな人が存在するわけがない。現実の社会でやったらただの支配だ。

 相手から「〇〇ちゃんのためにどうしてもこれをしてあげたい!」とやってきたなら話は別だが。

 そんな時は本人の方が驚く。

 そう、本当に好かれる時、自分が一番驚く。

 あれも、これも、何も意図していないのに、あれこれしてくれる。起きる。

 だから感動するのだ。

 それが自分も好きな人だから。

 いい話だろう?それが現実だ。


 不幸、苦労、辛い過去、そして好意、有能さ、肩書、物や金。

 あらゆるものは、支配のためにある!

 それがナルシストというものだ。

 「全部思い通り」しか選択肢がない。

 または全部駄目、どちらかだ。

 楽しそうだろう。

 結構楽しいと思うぞ。

 しくじることが多いが、そんな時もまた次だ。

 人間はいくらでもいる。

 今泣いて好きだと言っても、相手が望み通りにならないならまた次だ。

 誰でもいいんだ。

 自分の世界に入ってくるならば。

 最高の演技。最高の扱い。

 支配さえできれば、相手が自分のことさえ好きになれば、あとは勝ったようなもの。

 気に入らなくなったら、今度は別の仲間に吹聴して周り、相手を孤立させたら全員で攻撃して終りだ。

 人間なんてポイ捨てしたっていくらでも代わりがいる。

 そんなことはどうでもいいんだ。

 それをいかにして「黙らせて自分が良い人だと思わせるか」だ。


 現実の自分がどんなことを考えてもしていても、現実になんか関係ないんだよ。

 愛や信頼が欲しいなんて嘘に決まってるだろ。

 君は信じていないか?

 バカなのか。


 そんなことを考えている人間が、人を責めたり自分の不幸話で気を引くわけがないだろう!

 甘えるのもいい加減にしろ!

 バカか!

 と一応叱っておこう。

 本気じゃないだろ?


 みんな本気じゃないよ。

 わかってるよ。ちゃんと。

 わかっていて言わないのが現実だと思っている人もいるんだよ。


 当然、信頼関係なんて「言ってはいけないこと」はひとつも思っていない関係だよ。


 我慢したり、装ったりしたらどうなると思う?

 そのまま仲良くなって行ったら地獄だ。

 疲れる。

 だからそのうち嫌になる。

 当たり前だろう!

 だから最初から本気じゃないんだよ!馬鹿か!

 ちゃんと人の気持ちを考えろ!

 人が何を思っているかきちんと見ていろ!


 結婚だって本気で「この人となら」と思ったわけないだろう。

 今の苦労から逃れられて、適当にそれなりになれそうってだけだよ!

 本気で幸せになれるなんて、考えてるわけがない。

 だったらいいな程度で、相手のことだってそこまで信じていないし何よりそこまで好きでもない。

 当然だ。

 だったらいいな、という夢を見たかっただけ。

 だから最初は夢を見られたんだからいいんだよ。

 でもよかったと思わないか。

 好きでもなんでもないから、捨てることになんの容赦もない。

 少しでも好きな人だったら、または情が移っていたら、そんなことはできない。

 女子だったら、如何にしていくらふんだくってやるかってくらいだよ。

 夢は見させてもらったし、後はこれからの生活のためにいくら金をもらえるかなってさ。

 酷い?

 バカか!そんなありきたりの話は、大人だったら常識だ!

 君は本当に馬鹿だな。

 みんなが口先で言っていることは、全部嘘なんだよ。

 そう言っている人ばかりになったからって、本当にそんな人が増えたと思ってるのか?

 寧ろその逆。思ってもいないことを言っていたら心は抑圧されて逆になっていくんだから。


 な?

 面白いなあ。

 なんでこうなったかって?

 「~するのが良いことです!」

 って言われたから。

 全部言われたからだよ。

 言われたからやっただけ。

 言われたから良いことをしているんだよ。

 言われた通りに生きているんだから、我慢して望まない人生送る分、少しはそれを使っていい目にでも合わないとさ。

 なんせ一生望んだ人生なんか生きないんだから。

 なんで?

 言われたから。

 それが良いことだって言われたし、みんなが言ってるから。

 言われた通りに生きるのが偉いんだ。

 そこは問題じゃない。

 言われた通りに生きるのは最初から決まっているから、それはいいんだ。

 ちゃんと正しいものに従えているか、が大事なんだよ。


 人生の成功は、ちゃんとしていたかどうかなのだから。

 人生が終わった時に、褒めてもらうため。

 誰に?馬鹿か君は。

 親に決まっているだろう。あとは知らない人たちとか、できるだけ多く。

 親は先に死んでしまうからね。

 でもあの世で待っているから、自分も死ぬまで気が抜けないんだよ。


 うちの母も今でも守っているよ。

 「こんなにちゃんとやってきた」ってね。

 誰に言われたちゃんと、なのか、もう知る人もいないし、僕もわからないけどね。


 母は馬鹿なのだと思っていたが、僕とは違う世界の住人なんだ。

 他人と張り合っているからこその満足感だよ。

 人と比較していなかったら、優越なんてできない。

 優越している時だけは、「これであってる!」と安心していられるんだよ。

 だから常に馬鹿にしている存在が必要なんだ。


 僕は母とは違う世界の住人なんだ。

 なかなか出会わないんだよ、同じ世界の住人に。


 僕は嫌なことをされても、恋人を、好きになった人を責めない。

 嫌なことをされたら、自分が試される時だ。

 愛が試される時。それは相手を受け入れられるかどうかだ。

 僕は心の世界で人と触れ合って生きてきた。

 だから「何をしたか言ったか」より、「どういうつもりだったのか」が大事なんだ。

 僕が気に入ることなんてない。

 当たり前だよな。

 「こういう風にしてほしい」なんて期待していたら、100パー誰一人自分が好きになれる人なんてできないからね。

 だったら自分一人でやればいいんだから。

 「もう!何してほしいの!」

 って母親なら言うよな。

 ていうか、自分から「これしてほしい」って言っちゃったら、嬉しくないよな。


 好かれるって「してほしい」なんてわかるわけないのに、相手が勝手にしてくれることだからな。

 自分だけが感激するんだから。

 「もっと!」って自分から要求したら、もう感激がなくなるからな。


 「してほしいことをしてくれたら好き」

 これじゃ人は選べないな。

 僕は人を選ぶんだ。

 「君がしてくれるから、嬉しい」

 
 可哀想な私って

 言葉がおかしいよな?

 いい加減気づけよって思わないか?


 「私って可哀想」

 言葉がおかしいだろ?

 気付かないか?

 そうか…

 こんな簡単なことなのにな

 気付かない人が多いのかもしれないな


 面白いから、黙っていよう


 支配の国では目的が支配だからいいんだよ。

 支配するとどうなると思う。嫌われるな?

 そう、だから目的達成は同時に人から嫌われることなんだよ。


 自分の思い通りにしてもらえる幸せと

 愛される目的は矛盾しているからな

 混在はできない。

 二者一択だ。

 そして皆は選んだんだよ。

 「思い通りにしてもらえる方」をね。

 好かれなくてもいいや!まずは思い通りにしてもらおう!ってね。

 「好きになってくれる人がいたら、望み通りにしてくれる」ではないだろ?

 好きになってくれた人に望み通りにしてもらおうとするから嫌われるんだ。


 好きになってくれたなら、好きにさせておけばいいんだから。


 人はどんな人を好きになるか知っているか?

 好きにさせてくれる人

 つまり「何もさせようとしてこない人」だよ。

 無欲な人が愛される。


 好きだから~して! が一番駄目だな

 好きだから、好きにしていて欲しい、ならいいんだが。


 簡単なことだろう?

 「この子が好きだから、この子の好きにしていてほしい」

 だったら親も嫌われない。


 好きだからこそなんて詭弁だよ。

 「好かれていると思いたいから、好きにさせない」んだからさ。


 要は、自分は嫌われてるんじゃないかって常に心配してるんだ。

 信じないから、その通りになる。

 好かれているかどうかより、そんなこと考えてる人間が「好きになった人間」か考えた方がいいよな。

 生涯誰一人理解せず、愛することなく、何が起きていたのかわからずに

 「~してもらえなかった」

 「でもみんなは正しいって言ってくれた」

 で終わるなんて、僕はごめんだなあ。


 心から信じたことは、必ず現実になる。


 いい話だろ?

 本当だぜ。

 心から信じたら、悪いことなんて起きないんだ。


 でもカッコいいと思わないか、最後までやり切ればだ。


 「思い通りにならない人間は、一人残らず批難して恨んできた人生」


 いいねえ。

 これもまたいい。

 僕が最初に目指して挫折した方の人生だ。

 これ、やり始めたらすぐ辛くなったんだよね。

 なんせ、人を「恨んで疑っている役」だからね。

 まともに友達とも仲良くできないんだよ。

 普通じゃダメ。

 もっと特別でないといけないから。


 僕は実力不足だったね。

 「そんなことより普通でいいから友達と仲良くしたい!」

 と泣き言を言って、あっさり素直に「あそぼー」と行ってしまう体たらくだったから。


 親が許せないから、当たり前のものは捨てて、まず無理なすごい結果を獲得しにいく。

 なんて人生にしなくて、良かったよ。

 僕程度の人間なんて、普通に当たり前のことだけして、当たり前に少しずつ仲良くなって、現実に起きて納得できる幸せだけ得ていれば十分なんだよ。

 その程度の人間なんだって諦めているからね。