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まだ結婚できない男

まだ結婚できない男 第五話

 あと三日で視聴期限が終わりますが、まだ結婚できない男の最新話です。

 32分あたりからのシーンについて。

 婚活しまくっている女性が、主人公桑野さんを紹介してもらうシーンです。

 本人の希望は、一人でも仕事に信念を持ってバリバリやっている、知識豊富で背の高い、常識ある男性。

 そこで、友人であった女弁護士が偶然を装って桑野さんを引き合わせます。

 この女性、うつ病かノイローゼかという女性です。なんしても結婚結婚と極端な努力をしています。

 自分で希望していた男性ならば、結婚願望など強く持っていないのが当たり前なのに、話し始めてすぐに「結婚している方が幸せだ」という考え方に変えにかかります。

 ここで桑野さんに、大変失礼なことをこの女性は言いました。

 結婚する必要がないのは、桑野さんに未来の不安がないからだ。
 桑野さんみたいに特別な才能がある人はいいけど、私のような普通の人間は一人では将来が不安だ。

 というようなことを言います。
 本人は自分中心の話し方をしているので、相手のことを考えていません。

 自分のことしか考えていないので、自分がどんなに一人でいるのが不安なのか際立たせたかったのです。ナルシストです。

 結婚しなくて良いと言っている桑野さんに対して、失礼です。
 「お前は特別だから不安がなくていいよな」と言ってしまっているのです。

 他人の苦労を無視する発言です。
 苦労も努力もなく、一人で桑野さんが今までやってきたわけがありません。

 一人で信念を持って生きたことがないのだ、とよくわかります。我慢して言う事を聞いてきたことしかないのです。自分は不幸だと思っているタイプです。

 桑野さんはこの侮辱に対し、自分の信念について語ります。
 「結婚が如何によろしくないものなのか」結婚せずにいる理由について語ります。

 自らの親族を例に挙げ、結婚した場合の妻の心配もしています。

 そして次々と過去の偉人が結婚について語った言葉を引用します。

 それを連ねていると、紹介された女性は「私が間違っていたかもしれません」と泣いて店を出て行きます。

 その後、残された桑野さんが「夢を壊した」と批難されます。

 彼が侮辱されたことについて誰も気づかないのは、「結婚するのが良いことだ」という決まりがあるからです。

 結婚さえすれば幸せ。幸せになるには結婚しなくてはならない。

 そんな風潮が伺えます。

 僕はここで彼が言った、

 「どんな夢でもつぶそうとしてくる奴はいる。それを論破できずに何が夢ですか!」

 という言葉に感動しました。その通りだなと思いました。

 紹介された女性は、自分が矛盾しているとわかっていないのです。

 結婚しなくても幸せになっている人を理想としているのに、結婚しなくてはならない自分と考え方を一致させたがっているのです。それでは相手が幸せではなくなります。

 「今が幸せ」

 その人の今を壊すのだから、相手は不幸になるでしょう。

 人間関係を目的にする人は、このようなことをよくやります。
 相手のこれまでの人生や将来を無視して、自分がなりたがっている将来こそ幸せだと決めつけているのです。

 一人で好きにしているならともかく、誰かを道連れにすることは許されません。

 この場合、似たような男性を捕まえるしかないのです。

 しかし、翌日彼女は目が覚めました。
 うつ病は治りました。

 「何をそんなに結婚結婚って言ってたのかなーと思って」

 すっかり正気に戻っています。
 一人でいいかなと思えた時に、いい出会いがありそうな気がする、と至極まともなことを述べていました。

 桑野さんには感謝していると言いますが、もう一度会いたいかと言われたら絶対に会いたくない、とも言いました。

 彼は自分の将来を考えているので、人の将来も考えています。
 適当に人に話を合わせる人ならば、これから何度も会って結婚したかもしれません。

 それはお互いのためにならないことです。

 桑野さんは父親代わりをしたのです。
 甘えている女子に信念を打ち込みました。
 この役目は指導する力がなくてはできませんから、親でもなかなかできないのが現状です。

 そして、嫌われるのも当然なのです。
 反発して出て行くのが子供ですから。

 親は嫌われていいのです。
 親代わりも嫌われていいのです。

 自立させるにはそれしかなく、甘えている子にいつまでも「そのままでいいんだよ」と言っていたら一人では生きていけなくなります。

 他人でここまでする人はなかなかいないでしょう。
 桑野さんは人間を信頼していますから、思うことが言えるのです。人間が怖くないのです。

 人間不信の人は人間が嫌いで怖いです。
 気に入らないことを言うと甘やかしを求めます。

 敵意があるからです。自分にとって居心地の良い付き合い方でなくては安心できません。

 傷ついた時に自ら「傷ついた」と相手を責める人もいますね。自分の方こそ傷つけています。それがわからないのです。

 傷ついた時に相手に「傷ついたんだからな」と恨みを持つのは甘えている証拠です。

 文句を言って優しくしてくれたら「安心」するのが他人の区別がつかない人です。普通は逆にこれから不安になります。

 彼女は甘やかしを求めて親のような人と結婚したがっていました。しかし、目が覚めたのです。

 人生に失敗しても、他人を巻き込んで幸せになろうとするものではありません。

 自分のこれまでがうまく行かなくても、「結婚で幸せになろう」と相手を巻き込みに行けば必ず相手を不幸にします。

 自分の人生を諦めると、結婚に失敗しても「今度こそ」とまた同じ失敗を繰り返しに行きます。

 一人でコツコツ始めるなど、他人を使って途中まで来てしまうと面倒なのです。

 「離婚に使う精神力は、結婚の何倍にもなる。」

 と亡くなった母が申しておりました。

 それからの自分の人生など、考えるのも面倒です。
 自力で生きるなど大変なことですから、一人でどうするか考えて一人でなんとかしていくなど、依存して生きれば生きるほど面倒になります。

 そこで「なんとか楽して」が始まると、また別の相手を捕まえようとするのです。よくあるパターンですが、もう一度失敗するでしょう。

 自力で生きなくてはならなかったのは、若い頃から当たり前です。

 自分が自立して他人の人生まで助けていこうとしたこともないのに、自分を助けるために既に自立している人に縋り付きたくなるのです。それではただの邪魔者です。

 そこで「奥さんがいないと困るでしょう」が始まるのです。相手の弱点を作ろうとしているのです。その弱点に付け込むつもりだからです。

 他にも、友達がいない人や孤立していた人は、なんとかして他人も孤立している人にしたがります。

 「私たちは特別違って他人にわかってもらえない」

 集団ナルシシズムです。この手のタイプの方が遥かによく見ると僕は思います。

 自分たちだけ、をやりたがる人は、隔離された関係を望みます。執着が強く、相手を縛ります。独占欲が強いのです。

 女弁護士がこの傾向が強く、「私たちだけ」と固まり、集団でいじめをやりたがります。

 僕が残念だったのは、カフェの女店長が依存心の強い「なんでもいいよいいよタイプ」だったと判明したことです。

 仕事の悩みを桑野さんに話し、「桑野さんなら他の人が思いつきそうにないことを考えてくれそう」と期待します。

 依存心が強いのです。
 これを見て、「ああ、愛人作られたわけだ」と納得しました。

 桑野さんは悩んでいたことについての資料だけ用意して渡しました。
 すごい、と思いました。

 彼は考えるための材料を渡すだけに留め、アイディアは出さず本人に考えさせるようにしたのです。

 一人で考え、決断してきた男なのです。

 彼がしていることがなんなのか、殆どの人にはわからないのだろうなと思いました。周囲の人もわかっていません。なんだか見ていて気の毒です。

 13年経ったこのシリーズ、周囲が現代社会に合わせてすっかり変わりましたね。

 今の世の中には、本当に必要な作品だと思いました。